股関節のポキポキ音、その原因は？痛みがなくても要注意！今日からできる対策
股関節のポキポキ音、気にはなるけれど
「痛みがなければ大丈夫だろう」
と放置していませんか？
実は、その音には様々な原因が隠されており、中には放置すると悪化してしまう可能性のあるものも含まれています。
この記事では、多くの方が経験する股関節のポキポキ音がなぜ鳴るのか、痛みの有無で異なるその原因を詳しく解説いたします。
そして、今日からご自身でできる効果的な対策や、専門家への相談を検討すべきケースまで、網羅的にご紹介いたしますので、あなたの股関節のポキポキ音に対する不安を解消し、ご自身の状態に合わせた適切な対処法を見つけることができるでしょう。
多くのポキポキ音は適切なケアで改善が見込めますが、中には専門家によるサポートが必要な場合もあります。
まずはご自身の状態を理解することから始めましょう。
1. 股関節のポキポキ音、その正体とは
1.1 多くの人が経験する股関節の音
股関節から聞こえるポキポキという音は、多くの方が一度は経験する身近な現象です。
椅子から立ち上がる時、階段を上り下りする時、あるいはストレッチをしている最中など、日常生活のふとした瞬間に音が鳴ることがあります。
この音に驚いたり、不安を感じたりする方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしも異常を示すものではありません。
特に痛みを伴わないポキポキ音は、関節の生理的な現象であることが多く、心配する必要がないケースも少なくありません。
しかし、音が頻繁に鳴る、または痛みを伴う場合は、その背後に何らかの原因が隠れている可能性も考えられます。
まずは、このポキポキ音がどのようなメカニズムで発生しているのか、その正体について理解を深めていきましょう。
1.2 股関節のポキポキ音のメカニズム
股関節から発生するポキポキ音には、主にいくつかのメカニズムが考えられます。
これらのメカニズムは、痛みの有無や音の種類によって異なり、それぞれ異なる状況で発生します。
ここでは、代表的な音の発生メカニズムについて詳しくご説明いたします。
| メカニズム | 発生の仕組み | 音の特徴と痛みの有無 |
|---|---|---|
| 関節内の気泡（キャビテーション現象） | 股関節を包む関節包の中には、関節液という潤滑油のような液体があります。
関節が引っ張られたり、急な動きをしたりすると、この関節液の圧力が一時的に低下し、溶け込んでいるガスが気泡となります。 この気泡が破裂する際に、ポキッという音が鳴ると考えられています。 |
一般的に「ポキッ」「パキッ」という乾いた音がします。
ほとんどの場合、痛みを伴いません。 一度音が鳴ると、しばらく同じ場所からは音が鳴りにくくなる傾向があります。 |
| 腱や靭帯の摩擦・移動 | 股関節の周りには、多くの筋肉の腱や靭帯が付着しています。
これらの腱や靭帯が、股関節の動きに合わせて骨の出っ張り（骨突起）を乗り越える際に、摩擦が生じて音が発生することがあります。 特に、股関節を大きく動かす動作や、特定の姿勢を取る際に起こりやすいとされています。 |
「コリッ」「ゴリッ」「パキッ」といった比較的連続的な音がすることがあります。
痛みを伴わないことも多いですが、繰り返しの摩擦により炎症を起こしている場合は、痛みを感じることもあります。 |
| 関節の不安定性や緩み | 股関節の構造が何らかの原因で不安定になっている場合や、関節が一時的に正常な位置からわずかにずれることで、音が鳴ることがあります。
これは、関節がスムーズに動かず、引っかかりが生じている状態とも言えます。 |
「ボキッ」「ゴリッ」といった比較的大きく、重い音がすることがあります。この場合、痛みを伴うことがあり、違和感や不安定感を覚えることも少なくありません。 |
これらのメカニズムによって発生する音は、その種類や状況によって意味合いが異なります。
痛みを伴わない音であれば、過度に心配する必要がない場合が多いですが、痛みを伴う場合や、音の発生頻度が増している場合は、注意が必要です。
ご自身の股関節の音と、その時の状況をよく観察することが大切です。
2. 痛みを伴わない股関節のポキポキ音、その主な原因
2.1 関節の生理的現象による音
股関節からポキポキと音が鳴るものの、特に痛みを感じない場合、その多くは関節の生理的な現象によるものです。
これは、指の関節を鳴らすのと同じようなメカニズムで発生すると考えられています。
股関節の中には、骨と骨の摩擦を防ぎ、動きを滑らかにする「滑液（かつえき）」と呼ばれる液体が満たされています。
この滑液の中には、窒素ガスなどの気体が溶け込んでいます。
股関節を動かした際に、関節内の圧力が急激に変化すると、この溶け込んでいる気体が気泡となり、それが弾けることで「ポキッ」という音が生じます。
この現象は「キャビテーション」と呼ばれ、医学的には特に問題のない自然な生理現象とされています。
音が鳴っても痛みがなければ、基本的には心配する必要はありません。
しかし、頻繁に音が鳴る場合は、関節に何らかの負担がかかっている可能性もゼロではありませんので、ご自身の体の状態を観察することが大切です。
2.2 筋肉や腱の摩擦による音
痛みを伴わない股関節のポキポキ音の原因として、筋肉や腱が骨の出っ張りを乗り越える際に生じる摩擦音も挙げられます。
これは「弾発股（だんぱつこ）」と呼ばれる現象の一つで、股関節を曲げ伸ばししたり、特定の動作をしたりする際に、腱が弾けるように動いて音が鳴ります。
弾発股は、音が鳴る場所によっていくつかのタイプに分けられます。
主なものとしては、以下の3つがあります。
| タイプ | 音の発生部位 | 関与する主な筋肉・腱 |
|---|---|---|
| 内側型弾発股 | 股関節の付け根、鼠径部（そけいぶ）付近 | 腸腰筋（ちょうようきん） |
| 外側型弾発股 | 股関節の外側、太ももの付け根 | 腸脛靭帯（ちょうけいじんたい）、大腿筋膜張筋（だいたいきんまくちょうきん） |
| 後方型弾発股 | お尻の奥、股関節の後ろ側 | ハムストリングス（大腿二頭筋など）、梨状筋（りじょうきん） |
これらの筋肉や腱は、股関節の動きに深く関わっています。
筋肉の柔軟性が低下していたり、過度に緊張していたりすると、腱がスムーズに動けなくなり、骨との摩擦が生じやすくなります。
その結果、関節を動かすたびにポキポキという音が鳴ることがあります。
痛みを伴わない弾発股であれば、通常は緊急性はありません。
しかし、音が鳴るたびに摩擦が起きている状態は、長期的に見ると腱や周囲の組織に負担をかける可能性があります。
特に、スポーツ活動などで股関節を頻繁に使う方は、この摩擦が炎症を引き起こし、痛みにつながることもあるため注意が必要です。
2.3 股関節の緩みや不安定性
痛みのない股関節のポキポキ音の中には、股関節自体の緩みや不安定性が原因となっているケースもあります。
股関節は、大腿骨の先端にある球状の骨頭が、骨盤のくぼみ（臼蓋）にはまり込むことで形成される関節です。
この関節を安定させるために、関節包や靭帯、そして周囲の筋肉が重要な役割を担っています。
何らかの原因でこれらの支持組織が緩んだり、周囲の筋肉が十分に機能していなかったりすると、股関節の安定性が低下することがあります。
その結果、股関節を動かす際に、骨頭が臼蓋の中でわずかにずれ、その際にポキポキという音が発生することがあります。
この緩みや不安定性は、例えば出産後の女性に一時的に見られることがあります。
妊娠中に分泌されるホルモンの影響で全身の靭帯が緩みやすくなるため、股関節も一時的に不安定になることがあるのです。
また、特定のスポーツで股関節に大きな負荷がかかることで、徐々に緩みが生じるケースも考えられます。
痛みがなければ直ちに問題となるわけではありませんが、関節が不安定な状態が続くと、関節軟骨への負担が増えたり、周囲の筋肉に過剰な緊張が生じたりする可能性があります。
そのため、放置せずに、股関節の安定性を高めるための対策を検討することが望ましいです。
3. 痛みを伴う股関節のポキポキ音、危険な原因
股関節から聞こえるポキポキ音が、単なる生理的な現象ではなく、痛みを伴う場合は注意が必要です。
これは、体内で何らかの異常が起きているサインかもしれません。
放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性もありますので、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
3.1 変形性股関節症の可能性
痛みを伴う股関節のポキポキ音の原因として、まず考えられるのが変形性股関節症です。
この疾患は、股関節の軟骨がすり減り、骨が変形していくことで起こります。
初期の段階では、股関節を動かしたときにポキポキという音が鳴る程度で、痛みを感じないこともあります。
しかし、病状が進行すると、軟骨がさらにすり減り、関節の表面が不均一になったり、骨の縁に骨棘と呼ばれる突起ができたりします。
これにより、関節を動かすたびに骨同士がこすれ合ったり、引っかかったりして、ポキポキという音とともに痛みや引っかかり感が生じるようになります。
特に、歩き始めや立ち上がる際に痛みが強くなる傾向があります。
放置すると、痛みが慢性化し、股関節の動きが制限されて、歩行が困難になることもあります。
3.2 股関節唇損傷とその症状
股関節唇は、股関節の受け皿である寛骨臼の縁を取り囲む軟骨性の組織で、股関節の安定性を高め、スムーズな動きを助ける重要な役割を担っています。
この股関節唇が損傷すると、痛みを伴うポキポキ音の原因となることがあります。
股関節唇損傷は、スポーツによる繰り返しの負荷や外傷、加齢による変性などが原因で起こります。
損傷した股関節唇が関節の間に挟まったり、関節の動きを阻害したりすることで、「クリック音」や「引っかかり感」とともに、股関節の奥や鼠径部（足の付け根）に痛みが生じます。
特に、股関節を深く曲げたり、ねじったりする動作で痛みが増すことが多いです。
損傷が進行すると、痛みが強くなり、関節の可動域が制限されるだけでなく、将来的に変形性股関節症へ移行するリスクも高まります。
3.3 その他の病気や疾患
痛みを伴う股関節のポキポキ音は、上記以外にもさまざまな病気や疾患が原因となっている場合があります。
以下に、その主なものをまとめました。
| 疾患名 | ポキポキ音の特徴 | 痛みの特徴 | その他の症状 |
|---|---|---|---|
| 関節包炎・滑膜炎 | 関節内の摩擦音、引っかかり感 | 炎症による鈍痛、動作時痛 | 股関節の腫れ、熱感 |
| 大腿骨頭壊死 | 進行すると伴う場合あり | 初期は無症状、進行すると強い痛み | 跛行（足を引きずる）、可動域制限 |
| 感染症（化膿性股関節炎など） | 炎症に伴う摩擦音 | 激しい痛み、安静時痛 | 発熱、倦怠感、股関節の腫れや熱感 |
| リウマチ性疾患 | 炎症による摩擦音、ゴリゴリ感 | 持続的な痛み、朝のこわばり | 多関節炎、全身倦怠感、発熱 |
3.3.1 関節包炎や滑膜の炎症
股関節を包む関節包や、関節の内側を覆う滑膜に炎症が起こると、関節液のバランスが崩れたり、組織が腫れたりすることで、関節の動きがスムーズでなくなり、ポキポキという音とともに痛みが生じることがあります。
特に、使いすぎや外傷が原因となることが多いです。
3.3.2 大腿骨頭壊死
大腿骨頭壊死は、股関節の大腿骨頭への血流が悪くなり、骨組織が死んでしまう（壊死する）病気です。
初期の段階では自覚症状がないことが多いですが、病状が進行すると、骨頭が潰れてしまい、強い痛みとともにポキポキ音や引っかかり感が生じることがあります。
原因は特定できない場合も多いですが、アルコールの過剰摂取やステロイド剤の服用などが関連していると考えられています。
3.3.3 感染症
股関節に細菌などが感染し、化膿性股関節炎などの感染症が起こると、関節内に膿が溜まり、炎症が急速に進行します。
これにより、激しい痛みや発熱、全身倦怠感とともに、関節の動きが悪くなり、ポキポキという音が鳴ることもあります。
感染症は早期の診断と治療が非常に重要です。
3.3.4 リウマチ性疾患
関節リウマチなどの自己免疫疾患は、全身の関節に炎症を引き起こし、股関節にも影響を及ぼすことがあります。
関節の炎症が続くと、軟骨や骨が破壊され、関節の変形や機能障害が進みます。
この過程で、持続的な痛みとともに、股関節からポキポキ、ゴリゴリといった音が鳴ることがあります。
朝のこわばりや多関節炎なども特徴的な症状です。
4. 股関節のポキポキ音を放置するとどうなる
4.1 痛みがなくても進行するリスク
股関節のポキポキ音は、たとえ痛みが伴わない場合でも、関節内部で何らかの変化が起きているサインであることがあります。
初期段階では問題が小さく、自覚症状が少ないため軽視されがちですが、放置することで状況が悪化する可能性も考えられます。
例えば、股関節の軟骨がわずかに摩耗していたり、関節を安定させる役割を持つ股関節唇に小さな損傷があったりする場合、それらがポキポキ音の原因となることがあります。
これらは痛みを伴わないことが多く、気づかないうちに進行してしまうことがあります。
しかし、放置を続けると、摩耗や損傷が徐々に拡大し、やがては本格的な痛みや炎症、可動域の制限といった症状へとつながる恐れがあります。
また、股関節の不安定性が原因で音が鳴っている場合、その不安定な状態が続くことで、周囲の筋肉や腱に過度な負担がかかり、腱鞘炎や筋肉の炎症といった二次的な問題を引き起こすこともあります。
股関節の機能が低下すると、歩行や立ち座りといった日常生活の基本的な動作にも支障をきたし、結果的に生活の質の低下につながることも少なくありません。
以下に、痛みがなくても股関節のポキポキ音を放置した場合に起こりうる主なリスクをまとめました。
| リスクの種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 原因の悪化 | 股関節唇の損傷が進行する、関節軟骨の摩耗が加速する可能性があります。 |
| 新たな症状の発生 | 慢性的な痛み、炎症、股関節の可動域の制限などが現れることがあります。 |
| 日常生活への影響 | 歩行が困難になる、姿勢が悪くなる、活動量が低下するといった問題につながることが考えられます。 |
4.2 専門家への相談が推奨されるケース
股関節のポキポキ音が、痛みを伴わない場合であっても、以下のような状況に当てはまる場合は、一度専門家へ相談することをおすすめします。
早期に適切な診断を受けることで、問題の進行を防ぎ、適切な対策を講じることが可能になります。
専門家は、詳細な問診や検査を通じて、ポキポキ音の正確な原因を特定し、その状態に応じたアドバイスやケア方法を提案してくれます。
自己判断で様子を見る期間が長引くと、症状が悪化してしまうケースも少なくありません。
早めの相談が、将来的な股関節の健康を守ることにつながります。
以下に、専門家への相談を検討すべき主なケースを示します。
| 相談を推奨する状況 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 痛みの発生 | ポキポキ音に加えて、股関節に痛みが伴うようになった場合。 |
| 音の変化 | 音の頻度が増えた、音が大きくなった、音の種類が変わったと感じる場合。 |
| 可動域の制限 | 股関節の動きが悪くなった、特定の動きで引っかかりや違和感を感じる場合。 |
| 日常生活への影響 | 歩く、座る、立ち上がるなどの日常動作で不便を感じるようになった場合。 |
| その他の症状 | 股関節周辺に腫れや熱感がある、または見た目の変化がある場合。 |
5. 股関節のポキポキ音を改善する今日からできる対策
股関節のポキポキ音は、痛みがなくても放置すると悪化する可能性があります。
今日からできる対策を日常生活に取り入れ、股関節の健康を維持しましょう。
ここでは、具体的なエクササイズ、ストレッチ、姿勢の見直し、そして専門家への相談について詳しく解説します。
5.1 股関節周りの筋肉を鍛えるエクササイズ
股関節の安定性を高めるためには、周囲の筋肉をバランス良く鍛えることが大切です。
特に、お尻の筋肉（臀筋群）と内ももの筋肉（内転筋群）は、股関節の動きをサポートし、安定させる重要な役割を担っています。
5.1.1 ヒップリフト
仰向けに寝て膝を立て、お尻を持ち上げるエクササイズです。
お尻の筋肉を意識して、ゆっくりと上げ下げを繰り返しましょう。
腰を反らしすぎないように注意してください。
5.1.2 サイドレッグレイズ
横向きに寝て、上の脚をゆっくりと持ち上げるエクササイズです。
股関節の外側にある中臀筋を鍛え、股関節の安定性向上に繋がります。
脚を高く上げすぎず、股関節から動かす意識が重要です。
5.1.3 クラムシェル
横向きに寝て膝を90度に曲げ、かかとをつけたまま上の膝を開くエクササイズです。
お尻の奥にあるインナーマッスルを鍛え、股関節のねじれや不安定感を軽減するのに役立ちます。
5.2 股関節の柔軟性を高めるストレッチ
硬くなった股関節周りの筋肉や腱は、ポキポキ音の原因となることがあります。
股関節の可動域を広げ、柔軟性を高めるストレッチを毎日続けることで、症状の改善が期待できます。
5.2.1 股関節回し
座った姿勢や立った姿勢で、股関節をゆっくりと大きく回します。
前方、後方、内側、外側と様々な方向に動かし、股関節全体をほぐしましょう。
無理のない範囲で行ってください。
5.2.2 開脚ストレッチ
床に座って両脚を左右に開くストレッチです。
内ももの筋肉（内転筋群）をゆっくりと伸ばします。
痛みを感じる手前で止め、呼吸をしながらじっくりと筋肉を伸ばす意識が大切です。
5.2.3 お尻のストレッチ（梨状筋ストレッチ）
仰向けに寝て片膝を立て、その足首を反対側の膝の上に乗せ、立てた膝を胸に引き寄せるストレッチです。
お尻の奥にある筋肉を伸ばし、股関節の詰まり感を和らげます。
5.3 日常生活での姿勢と習慣の見直し
日々の姿勢や習慣が股関節に負担をかけ、ポキポキ音を引き起こしていることがあります。
意識的に見直すことで、股関節への負担を減らし、症状の改善に繋がります。
5.3.1 座り方
長時間座る際は、脚を組むのを避け、深く腰掛け、骨盤を立てるように意識しましょう。
椅子の高さも調整し、膝が股関節より少し高くなる程度が理想的です。
5.3.2 立ち方・歩き方
片足に重心をかけたり、猫背になったりしないよう、常に正しい姿勢を意識して立つことが大切です。
歩く際は、かかとから着地し、つま先で地面を蹴るように、股関節からしっかりと脚を動かすことを心がけましょう。
5.3.3 靴の選び方
クッション性が高く、足にフィットする靴を選ぶことも重要です。
かかとの高い靴や不安定な靴は、股関節に余計な負担をかけるため、避けるようにしてください。
5.4 専門家による診断と治療の選択肢
ご自身でできる対策を行っても改善が見られない場合や、痛みを伴うポキポキ音がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
専門家は、股関節の状態を正確に評価し、適切なアドバイスや施術を提供してくれます。
専門家による診断では、触診や動きの確認などを通して、ポキポキ音の具体的な原因を特定します。
原因が特定されれば、それに応じた対策を提案してもらえます。
提案される対策には、以下のようなものがあります。
| 対策の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 運動療法 | 股関節周囲の筋肉を強化・柔軟化するための、個別のエクササイズやストレッチ指導。 |
| 姿勢指導 | 日常生活での正しい姿勢や動作の改善指導。 |
| 生活習慣の改善 | 股関節に負担をかけないための、座り方や立ち方、歩き方、靴の選び方などのアドバイス。 |
| 徒手療法 | 専門家による手技で、関節の動きを改善したり、筋肉の緊張を和らげたりする施術。 |
自己判断で無理な運動を行ったり、放置したりせず、専門家の意見を聞くことで、より効果的な改善に繋がります。
ご自身の股関節の状態に合わせた適切な対策を見つけることが、健康な股関節を維持するための第一歩です。
6. まとめ
股関節のポキポキ音は、多くの方が経験される現象ですが、その原因は一つではありません。
痛みを伴わない場合は、関節の生理的な現象や、筋肉・腱の摩擦によるものが考えられ、必ずしも心配する必要がないケースもあります。
しかし、たとえ痛みがなくても、股関節の緩みや不安定性が原因でポキポキ音が鳴っている場合、放置することで将来的に痛みや他の症状へと進行するリスクも存在します。
特に、変形性股関節症や股関節唇損傷など、何らかの疾患が原因でポキポキ音と共に痛みが現れている場合は、早期に専門医の診断を受けることが非常に重要になります。
ご自身の股関節のポキポキ音がどのような状況で発生し、痛みを伴うのか、伴わないのかを正確に把握することが、適切な対応への第一歩です。
日頃から股関節周りの筋肉を鍛えるエクササイズや柔軟性を高めるストレッチ、そして正しい姿勢を意識した生活習慣を心がけることは、股関節の健康維持に繋がり、ポキポキ音の改善や予防にも役立ちます。
もし、ポキポキ音に加えて痛みや違和感がある場合、または音が気になる場合は、自己判断せずに整形外科などの専門医にご相談ください。
早期に適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、快適な日常生活を取り戻すことができます。
股関節のポキポキ音は、体が発する大切なサインの一つです。
この機会にご自身の股関節と向き合い、適切なケアを行うことで、健康で活動的な毎日を過ごせるようになります。
何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。
柔道整復師 武田和樹 監修