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なぜ起こる?股関節脱臼の意外な原因と日常生活でできる予防のヒント

股関節の脱臼は、激しい痛みとともに日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

 

しかし、「なぜ自分に?」と疑問に思う方も少なくありません。

 

実は、股関節脱臼の原因は、交通事故や転倒といった分かりやすい外傷だけでなく、普段の生活の中に潜む意外な要因や、生まれつきの体質、あるいは他の病気が関係しているケースも存在するのです。

 

このページでは、股関節が脱臼するメカニズムから、一般的な外傷性の原因はもちろん、見落とされがちな先天的な要素や生活習慣による不安定性まで、多角的にその原因を深掘りして解説いたします。

 

さらに、日々の暮らしの中で実践できる具体的な予防策や、もしもの時にどうすれば良いかについてもご紹介しますので、この記事を読み終える頃には、ご自身の股関節を守るための知識とヒントをきっと得ていただけるでしょう。

 

 

1. 股関節脱臼とは?その基本を理解する

 

1.1 股関節の構造と脱臼が起こるメカニズム

 

私たちの体の中で、股関節は体重を支え、歩行や運動など多様な動きを可能にする重要な関節です。

 

股関節は、骨盤のくぼみである「寛骨臼(かんこつきゅう)」と、大腿骨の先端にある丸い「大腿骨頭(だいたいこっとう)」が組み合わさってできています。

 

この構造は、野球のボールとグローブに例えられることがあり、非常に安定した「球関節(きゅうかんせつ)」として機能しています。

 

この安定性は、寛骨臼と大腿骨頭が深くはまり込んでいることに加え、周囲を覆う強靭な関節包(かんせつほう)や複数の靭帯(じんたい)、そして多くの筋肉によって支えられています

 

これらの組織が連携して働くことで、股関節は大きな負荷に耐えながらも、前後左右、そして回旋といった広い可動域を確保しているのです。

 

では、股関節脱臼はどのようにして起こるのでしょうか。

 

股関節脱臼とは、この大腿骨頭が寛骨臼から完全に、あるいは部分的に逸脱し、正常な位置関係を失ってしまう状態を指します。

 

通常、これほど安定した関節が脱臼するには、非常に強い外力が必要です。

 

例えば、交通事故による衝突、高所からの転落、スポーツ中の激しい接触などが挙げられます。

 

脱臼のメカニズムとしては、外力が股関節に加わることで、まず関節包や靭帯が引き伸ばされたり、断裂したりします。

 

その結果、大腿骨頭が寛骨臼から外れ、周囲の組織を損傷しながら逸脱するのです。

 

脱臼の方向は、外力の種類や加わり方によって異なりますが、最も多いのは大腿骨頭が後方に外れる「後方脱臼」です。

 

これは、膝を打つなどして大腿骨が後方に強く押し込まれることで発生しやすいです。

 

 

1.2 股関節脱臼の種類と症状

 

股関節脱臼は、その状態や原因によっていくつかの種類に分けられます。

 

それぞれの種類によって、現れる症状にも特徴があります。

 

 

1.2.1 股関節脱臼の主な種類

 

まず、脱臼の程度によって「完全脱臼」と「不完全脱臼(亜脱臼)」に分けられます。

 

  • 完全脱臼:大腿骨頭が寛骨臼から完全に外れてしまい、関節の機能が完全に失われた状態です。
  • 不完全脱臼(亜脱臼):大腿骨頭が寛骨臼から一部外れるものの、完全には逸脱していない状態です。関節の安定性は著しく低下しますが、わずかに動かせる場合もあります。

 

また、原因によって「外傷性脱臼」と「非外傷性脱臼」に大別されます。

 

外傷性脱臼は、交通事故や転倒など強い外力が原因で起こるもので、成人に見られる脱臼の多くを占めます。

 

一方、非外傷性脱臼は、先天的な股関節の形成不全や、関節の病気などが原因で、比較的軽微な力で脱臼してしまうものです。

 

これらの原因については、後の章で詳しく解説します。

 

 

1.2.2 股関節脱臼で現れる主な症状

 

股関節脱臼が起こると、以下のような特徴的な症状が現れます。

 

脱臼の最も顕著な症状は、激しい痛みです。

 

これは通常、耐え難いほどの痛みであり、体を動かすことが非常に困難になります。

 

また、見た目にも股関節周辺の変形が確認できることが多く、足の長さが変わったり、股関節が不自然な方向にねじれたりすることがあります。

 

 

具体的な症状は、脱臼の方向によって特徴が異なります。

 

以下の表で、脱臼の方向による主な症状の違いをまとめました。

症状の項目 後方脱臼(最も多い) 前方脱臼(比較的稀)
痛み 股関節から太ももにかけての激しい痛み 股関節前面から足の付け根にかけての激しい痛み
見た目の変化
  • 足が短くなったように見える
  • 股関節が内側にねじれる(内旋)
  • 膝が内側に寄る(内転)
  • 足が長くなったように見える
  • 股関節が外側にねじれる(外旋)
  • 膝が外側に開く(外転)
機能障害
  • 股関節を動かせない
  • 体重をかけることができない
  • 股関節を動かせない
  • 体重をかけることができない
神経症状
  • 坐骨神経の損傷により、足にしびれや麻痺が生じることがある
  • 大腿神経の損傷により、太ももの前面にしびれや麻痺が生じることがある
その他 腫れや内出血が見られることがあります 腫れや内出血が見られることがあります

 

これらの症状が現れた場合は、速やかに専門家による適切な処置を受けることが極めて重要です。

 

放置すると、神経損傷が進行したり、股関節の機能に永続的な障害が残ったりする可能性もあります。

 

 

2. 股関節脱臼の主な原因 外傷性と非外傷性

 

股関節脱臼は、その発生機序によって大きく「外傷性」と「非外傷性」に分けられます。

 

この章では、特に外傷性の股関節脱臼に焦点を当て、その主な原因と状況について詳しく解説いたします。

 

 

2.1 交通事故や転倒による外傷性の股関節脱臼

 

外傷性の股関節脱臼は、股関節に強い外力が加わることで発生します。

 

その中でも、交通事故や転倒は代表的な原因として挙げられます。

 

交通事故では、自動車の衝突時に膝がダッシュボードに強く打ち付けられたり、シートベルトによって体が固定された状態で急激な衝撃を受けたりすることで、大腿骨頭が後方や前方に押し出され、臼蓋から外れてしまうことがあります。

 

特に、膝が前方から強い衝撃を受けると、大腿骨頭が後方に脱臼する「後方脱臼」が多く見られます。

 

転倒もまた、外傷性股関節脱臼の重要な原因です。

 

高所からの転落、階段からの滑落、あるいは滑って尻もちをつくといった状況で、股関節に直接的または間接的に大きな力が加わると、脱臼に至ることがあります。

 

特に、着地の際に股関節が不自然な角度で地面に衝突したり、ひねられたりすると、脱臼のリスクが高まります。

 

これらの外傷性の脱臼は、年齢や性別に関わらず、誰もが遭遇し得るリスクです。

 

日常生活の中での不慮の事故が、股関節に甚大な影響を及ぼす可能性があることを認識しておくことが大切です。

 

 

2.2 スポーツ活動中に起こる股関節脱臼のリスク

 

スポーツ活動は健康維持に欠かせませんが、激しい動きや身体接触を伴う競技では、股関節脱臼のリスクが潜んでいます。

 

例えば、サッカーやラグビーのようなコンタクトスポーツでは、相手選手との衝突やタックルによって股関節に強い衝撃が加わり、脱臼を引き起こすことがあります。

 

また、体操やダンス、スキーやスノーボードといったスポーツでは、無理な体勢での着地や転倒、あるいは股関節が過度にひねられるような動作が原因となる場合があります。

 

スポーツ中の股関節脱臼は、以下のような状況で発生しやすい傾向があります。

 

発生状況 具体的な例 脱臼のメカニズム
強い衝突や接触 ラグビーでのタックル、サッカーでの激しい接触 股関節に直接的な外力が加わり、大腿骨頭が臼蓋から押し出される
不自然な着地や転倒 体操での失敗、スキーやスノーボードでの転倒 股関節が無理な角度で固定された状態で体重や衝撃が加わる
股関節の過度なひねり ダンスでの急な方向転換、格闘技での関節技 股関節の可動域を超えたひねりが加わり、関節が不安定になる

 

スポーツを行う際には、十分なウォーミングアップとクールダウンを行い、正しいフォームを習得することが、股関節への負担を軽減し、脱臼のリスクを低減するために非常に重要です。

 

また、適切な用具の使用も、不慮の事故から身を守る上で役立ちます。

 

 

2.3 高齢者に多い転倒による股関節脱臼

 

高齢者の方々にとって、転倒は股関節脱臼の特に注意すべき原因の一つです。

 

加齢に伴い、身体には様々な変化が生じ、それが転倒リスクを高め、結果として股関節脱臼につながりやすくなります。

 

高齢者の転倒による股関節脱臼には、以下のような要因が複合的に関与していることが多いです。

 

  • 筋力低下: 足腰の筋力が衰えることで、バランスを崩しやすくなります。
  • バランス能力の低下: 身体の平衡感覚が鈍くなり、ちょっとした段差や不安定な場所でつまずきやすくなります。
  • 骨の脆弱性: 骨粗しょう症などで骨がもろくなっている場合、軽微な転倒でも股関節周囲の骨折を伴い、その結果として脱臼に至ることがあります。
  • 視力や聴力の低下: 周囲の状況を正確に把握しにくくなり、危険を察知する能力が低下します。
  • 服用薬の影響: めまいやふらつきを引き起こす可能性のある薬を服用している場合、転倒のリスクが高まります。

 

 

また、日常生活環境も高齢者の転倒リスクに大きく影響します。

 

自宅内の段差、滑りやすい床材、散らかった物、暗い照明などは、転倒の原因となりやすい要素です。

 

外出時には、不慣れな場所や人混み、悪天候などもリスクを高めます。

 

高齢者の股関節脱臼を予防するためには、日頃からの適度な運動による筋力とバランス能力の維持、そして転倒しにくい安全な生活環境の整備が非常に重要です。

 

具体的には、手すりの設置、段差の解消、滑り止めマットの使用、明るい照明の確保などが挙げられます。

 

 

3. 見落としがちな股関節脱臼の意外な原因

 

股関節脱臼は、大きな外力によるものだけではありません。

 

日々の生活習慣や、ご自身では気づきにくい身体の特性、あるいは進行性の病気が原因となって、股関節が不安定になり、思わぬきっかけで脱臼してしまうケースも少なくありません。

 

ここでは、見過ごされがちな股関節脱臼の隠れた原因について詳しく解説いたします。

 

 

3.1 先天性股関節脱臼と臼蓋形成不全

 

生まれた時から股関節の構造に問題がある場合、成長とともに股関節脱臼のリスクが高まることがあります。

 

特に、先天性股関節脱臼臼蓋形成不全は、その代表的な例です。

 

先天性股関節脱臼は、その名の通り、生まれつき股関節が正常な位置からずれている、または脱臼しやすい状態を指します。

 

乳幼児期の検診で発見されることが多いですが、軽度の場合や見落とされた場合には、成長してから症状が現れることもあります。

 

一方、臼蓋形成不全とは、股関節の受け皿である「臼蓋」の形が浅く、大腿骨の先端(大腿骨頭)を十分に覆いきれていない状態をいいます。

 

この状態だと、股関節の適合性が悪く、不安定になりやすいため、日常生活のちょっとした動作や、軽い衝撃でも脱臼してしまうリスクが高まります。

 

特に、女性に多く見られる傾向があり、若い頃は自覚症状がなくても、年齢を重ねるごとに股関節への負担が増え、変形性股関節症へと進行し、脱臼しやすくなることがあります。

 

ご自身が臼蓋形成不全であることに気づかず生活している方も少なくありません。

 

 

3.2 股関節の病気が引き起こす脱臼

 

股関節の安定性は、関節を構成する骨、軟骨、関節包、靭帯、そして周囲の筋肉によって保たれています。

 

これらのいずれかに異常をきたす病気が進行すると、股関節の安定性が損なわれ、脱臼を引き起こす原因となることがあります。

 

代表的な病気としては、変形性股関節症が挙げられます。

 

これは、股関節の軟骨がすり減り、骨が変形していく病気です。

 

軟骨が失われることで、大腿骨頭と臼蓋の間に隙間ができたり、関節の形が変わったりするため、股関節が不安定になり、脱臼しやすくなります。

 

特に進行期では、関節の適合性が大きく損なわれるため、脱臼のリスクが非常に高まります。

 

その他にも、関節リウマチなどの炎症性疾患は、関節包や靭帯、軟骨を破壊し、股関節の構造的な安定性を低下させることがあります。

 

また、大腿骨頭壊死のように、大腿骨頭への血流が悪くなり、骨組織が壊死して骨が潰れてしまう病気も、股関節の形状を変化させ、脱臼しやすい状態を作り出す原因となります。

 

 

3.3 日常生活の習慣が招く股関節の不安定性

 

日々の何気ない生活習慣が、知らず知らずのうちに股関節に負担をかけ、不安定性を高め、脱臼しやすい状態を作り出していることがあります。

 

これらは直接的な脱臼原因とはなりませんが、積み重なることで股関節の耐久性を低下させ、小さなきっかけで脱臼を引き起こす要因となり得ます。

 

習慣 股関節への影響 脱臼リスクが高まる理由
横座りやあぐら、足を組む 股関節にねじれや偏った圧力がかかります。 特定の方向への負担が関節包や靭帯を緩ませ、股関節の適合性を悪化させます。
片足重心で立つことが多い 片側の股関節に過度な負担がかかり、骨盤の歪みを招きます。 股関節周囲の筋力バランスが崩れ、不安定性が増します。
猫背や反り腰など悪い姿勢 股関節の位置がずれ、本来の可動域が制限されます。 股関節への負担が均等にかからず、特定の部位にストレスが集中しやすくなります。
運動不足による筋力低下 股関節を支えるお尻や太ももの筋肉が衰えます。 股関節の安定性が低下し、外力に対する抵抗力が弱まります。
柔軟性不足 股関節周囲の筋肉や靭帯が硬くなり、可動域が狭まります。 無理な体勢を取った際に、関節に過度なストレスがかかりやすくなります。

 

これらの習慣は、一朝一夕に股関節脱臼を引き起こすわけではありませんが、長期間にわたって続けることで、股関節の安定性を支える組織が徐々に弱まり、脱臼しやすい「土台」を作り上げてしまいます

 

ご自身の日常生活を振り返り、股関節に負担をかけている習慣がないか確認することが大切です。

 

 

4. 日常生活でできる股関節脱臼の予防策

 

股関節脱臼は、一度経験すると再発のリスクが高まることがあります。

 

また、加齢や特定の体の状態によっても、脱臼しやすい状態になることがあります。

 

日常生活の中で股関節への負担を減らし、安定性を高めるための予防策を実践することは、健やかな生活を送る上で非常に重要です。

 

ここでは、ご自身でできる具体的な予防策をご紹介します。

 

 

4.1 股関節を強くする効果的な運動とストレッチ

 

股関節を安定させるためには、周囲の筋肉をバランス良く強化し、柔軟性を保つことが不可欠です。

 

特に、お尻の筋肉(大臀筋、中臀筋)や太ももの筋肉、体幹の筋肉を鍛えることで、股関節への衝撃を吸収し、安定性を高めることができます。

 

運動やストレッチは、無理のない範囲で継続的に行うことが大切です。

 

以下に、股関節の安定性向上に役立つ代表的な運動とストレッチをご紹介します。

 

種類 運動・ストレッチ名 目的と簡単な方法
運動 ヒップリフト お尻の筋肉(大臀筋)を強化し、股関節の安定性を高めます

仰向けに寝て膝を立て、お尻を持ち上げて肩から膝までが一直線になるようにします。

ゆっくりと元の位置に戻します。

運動 クラムシェル 股関節の外側にある中臀筋を鍛え、歩行時の安定性を向上させます

横向きに寝て膝を軽く曲げ、かかとをつけたまま上の膝を天井方向へ開きます。

ゆっくりと元の位置に戻します。

運動 サイドライイングレッグレイズ 中臀筋を強化し、股関節の外転機能を高めます

横向きに寝て、上の足をまっすぐ伸ばしたまま天井方向へ持ち上げます。

ゆっくりと元の位置に戻します。

ストレッチ 腸腰筋ストレッチ 股関節の屈曲に関わる腸腰筋の柔軟性を高め、股関節の可動域を改善します

片膝を立てて前に出し、もう片方の足を後ろに引いて股関節を伸ばします。

ストレッチ ハムストリングスストレッチ 太ももの裏側の筋肉の柔軟性を高め、骨盤の傾きを整え、股関節への負担を軽減します

座った状態で片足を伸ばし、つま先を手前に引くようにして上半身を前に倒します。

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4.2 転倒を防ぐための環境整備と注意点

 

転倒は、特に高齢の方にとって股関節脱臼の大きな原因の一つです。

 

ご自宅や普段過ごす場所の環境を見直し、転倒のリスクを減らすことが予防に繋がります。

 

また、日々の行動にも少し注意を払うことで、不意の転倒を防ぐことができます。

項目 具体的な対策と注意点
環境整備

4.2.1 床の整理整頓

床に散らばった物やコード類は、つまずきの原因になります

 

常に整理整頓を心がけ、歩行の妨げになるものを取り除きましょう。

 

4.2.2 滑り止めの設置

 

浴室の床、階段、玄関マットなど、滑りやすい場所には滑り止めマットやテープを設置しましょう

 

特に水回りは注意が必要です。

 

 

4.2.3 手すりの設置

 

階段や浴室、トイレなど、立ち上がりや移動の際に不安定になりやすい場所には手すりを設置すると安心です

 

4.2.4 十分な照明の確保

 

夜間や薄暗い場所での移動は、足元が見えにくく転倒のリスクが高まります

 

廊下や階段、寝室には十分な明るさの照明を設置し、必要に応じて常夜灯も活用しましょう。

 

4.2.5 段差の解消

 

小さな段差でもつまずきの原因になります

 

可能であれば段差をなくす改修を行うか、スロープを設置するなどの対策を検討しましょう。

日常生活の注意点

4.2.6 適切な履物の選択

 

自宅内ではかかとが低く、足にフィットし、滑りにくい室内履きを選びましょう

 

外出時には、底が滑りにくく、安定感のある靴を選ぶことが大切です。

 

4.2.7 急な動作の回避

 

急いで方向転換したり、急に立ち上がったりすると、バランスを崩しやすくなります

 

常にゆっくりと、慎重に動作するように心がけましょう。

 

 

4.2.8 足元への意識

 

歩く際には常に足元に意識を向け、障害物がないか確認する習慣をつけましょう

 

特に見慣れない場所では注意が必要です。

 

 

4.2.9 薬の影響への注意

 

服用している薬の中には、めまいやふらつきを引き起こす副作用があるものもあります

 

もしそのような症状を感じたら、ご自身の体調に注意し、必要であれば専門家にご相談ください。

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4.3 股関節に負担をかけない正しい姿勢と動作

 

日常生活の中で無意識に行っている姿勢や動作が、股関節に過度な負担をかけている場合があります。

 

正しい姿勢と動作を心がけることで、股関節へのストレスを軽減し、脱臼のリスクを低減することができます。

 

特に、股関節を深く曲げたり、内側や外側に強くひねったりする動作は避けるようにしましょう。

  • 立つとき体重を左右均等にかけるように意識し、猫背にならないように背筋を伸ばしましょう。片足に重心をかけ続けると、片側の股関節に負担が集中してしまいます。
  • 座るとき深く腰掛け、膝と股関節が約90度になるように保つことが理想的です。足を組む習慣がある方は、股関節に負担がかかりやすいため控えるようにしてください。また、長時間同じ姿勢で座り続けないように、適度に休憩を挟んで体を動かすことも大切です
  • 物を持ち上げるとき腰をかがめるのではなく、膝を曲げてしゃがみ、股関節と膝の力を利用して持ち上げるようにしましょう。これにより、腰や股関節への負担を大幅に減らすことができます。
  • 方向転換するとき急に上半身だけをひねるのではなく、足元から体の向きを変えるように意識してください。これにより、股関節への不必要なねじれを防ぎます。
  • 階段の昇降手すりがある場合は積極的に利用し、一段ずつゆっくりと昇り降りしましょう。急いで昇降すると、バランスを崩しやすくなります。
  • 寝るとき横向きで寝る場合は、膝の間にクッションや枕を挟むことで、股関節が内側にねじれるのを防ぎ、安定した姿勢を保つことができます

5. もし股関節脱臼が疑われたら 早期受診の重要性

 

股関節脱臼は、その発生原因や状況にかかわらず、早期に適切な対応をすることが極めて重要です

 

万が一、ご自身や周囲の方に股関節脱臼の兆候が見られた場合は、ためらわずに専門機関へ相談し、専門家の判断を仰ぐことが大切になります。

 

放置することで、より深刻な状態へと進行するリスクがあるため、迅速な行動が求められます。

 

 

5.1 股関節脱臼が疑われるサイン

 

股関節脱臼は、激しい衝撃を伴う場合が多いですが、必ずしも常に明らかな外傷があるわけではありません。

 

以下のようなサインが見られた場合は、股関節脱臼の可能性を疑い、注意深く観察してください。

 

サインの種類 具体的な症状
激しい痛み 股関節周辺に耐え難いほどの強い痛みが生じ、動かすとさらに悪化します。
関節の変形 患部の足が通常とは異なる方向を向いたり、短くなったように見えたりするなど、目に見える変形がある場合があります。
可動域の制限 股関節を動かそうとしても、痛みで動かせなかったり、特定の方向にしか動かせなかったりします。

完全に動かせなくなることもあります。

しびれや麻痺 脱臼によって神経が圧迫されると、足にしびれや感覚の麻痺、あるいは力が入らないといった症状が現れることがあります。
腫れや内出血 患部周辺に腫れや内出血が見られることもあります。

5.2 なぜ早期の対応が重要なのか

 

股関節脱臼を放置したり、自己判断で不適切な処置をしたりすることは、深刻な合併症や後遺症を引き起こすリスクを高めます

 

早期に適切な専門機関で対応を受けることが、回復を早め、将来的な問題を避けるために不可欠です。

 

 

5.2.1 合併症のリスク

  • 大腿骨頭壊死: 脱臼によって股関節への血流が途絶え、大腿骨の頭の部分が壊死してしまうことがあります。これは不可逆的な損傷であり、その後の生活に大きな影響を及ぼします。
  • 神経・血管損傷: 脱臼時に周辺の神経や血管が損傷を受けることがあります。これにより、足のしびれ、麻痺、血行障害などが生じる可能性があります。
  • 関節軟骨損傷: 脱臼の際に股関節の軟骨が傷つき、将来的に変形性股関節症の原因となることがあります。
  • 再脱臼のリスク増加: 一度脱臼した股関節は、周囲の組織が損傷しているため、適切な処置をしないと再脱臼しやすくなります。

 

これらのリスクを最小限に抑え、良好な回復を目指すためには、発症後できるだけ早く専門家の診察を受けることが肝心です

 

 

5.3 適切な専門機関での検査と診断

 

股関節脱臼が疑われる場合、自己判断は避け、必ず専門機関で身体の専門家による正確な診断を受けるようにしてください

 

専門家は、症状の確認、身体の動きの評価、そして画像診断を通じて、脱臼の有無や状態、合併症の有無を詳しく調べます。

 

検査の種類 主な目的
視診・触診 股関節の変形、腫れ、痛みのある場所、足の長さや向きの変化などを確認します。
身体機能検査 股関節の可動域や、神経の機能に異常がないかを評価します。
画像診断
  • レントゲン検査: 骨の位置関係や脱臼の有無を明確に確認します。
  • 磁気共鳴画像検査(MRI): 骨だけでなく、軟骨、靭帯、筋肉、神経、血管などの軟部組織の損傷状態を詳細に評価します。
  • CT検査: 骨折の有無や骨の立体的な構造を詳しく確認する場合があります。

これらの検査結果に基づいて、身体の専門家が最も適切な治療計画を立ててくれます

 

正確な診断が、その後の回復への第一歩となります。

 

 

5.4 応急処置と専門機関への移動

 

股関節脱臼が疑われる状況では、むやみに患部を動かしたり、無理に元に戻そうとしたりすることは絶対に避けてください

 

不適切な処置は、さらなる損傷を引き起こす可能性があります。

 

 

5.4.1 応急処置のポイント

 

  • 安静にする: 痛みがある場合は、その場で動かず、楽な姿勢で安静を保ちます。
  • 患部を冷やす: 腫れや痛みを和らげるために、冷たいタオルや氷嚢などで患部を優しく冷やします。直接氷を当てるのは避け、タオルなどで包んで使用してください。
  • 固定する: 可能であれば、患部が動かないようにクッションや衣類などで軽く固定します。ただし、無理な固定は行わないでください。

 

応急処置を行った後は、安全かつ速やかに専門機関へ移動することが重要です

 

ご自身での運転や、無理な体勢での移動は避け、ご家族や周囲の方の助けを借りるか、適切な方法で専門機関へ向かってください。

 

 

6. まとめ

 

股関節脱臼は、交通事故や転倒、スポーツ中の事故といった強い外力による外傷性のものだけでなく、日常生活に潜むさまざまな要因によっても引き起こされる可能性があります。

 

特に、生まれつきの股関節の構造的な問題である先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全、あるいは関節リウマチなどの病気が股関節の不安定性を招き、脱臼のリスクを高めることがあります。

 

また、日頃の姿勢や動作、運動不足といった生活習慣も、股関節への負担を増やし、結果として脱臼の一因となることがあるのです。

 

これらの多様な原因があることを理解し、日常生活の中で股関節を強くする運動やストレッチを取り入れたり、転倒しやすい環境を整備したり、股関節に負担をかけない正しい姿勢や動作を心がけたりすることが、脱臼を予防するための重要な結論となります。

 

ご自身の股関節の状態を把握し、適切な予防策を講じることが、健康な毎日を送るための鍵と言えるでしょう。

 

もし、股関節に強い痛みや違和感があり、脱臼が疑われる場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診し、専門医の診察を受けることが非常に大切です。

 

早期に適切な診断と治療を受けることで、その後の回復に大きく影響します。

 

何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

 

 

柔道整復師 武田和樹 監修

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