膝の痛み、水が溜まるのはなぜ?原因別の対処法と今すぐできる応急処置
膝の痛みと水が溜まる症状に悩んでいませんか?
この記事では、膝に水が溜まる原因を分かりやすく解説し、原因別の対処法と今すぐできる応急処置をご紹介します。
水が溜まるメカニズムや痛みの種類を知ることで、不安を解消し、適切な対応ができるようになります。
変形性膝関節症、半月板損傷、靭帯損傷、関節リウマチ、感染性関節炎など、さまざまな原因別に具体的な対処法を説明していますので、ご自身の症状に合った情報を見つけることができます。
また、応急処置としてRICE処置の方法や市販薬の活用についても解説。
さらに、症状が悪化した場合に受診すべき目安もご紹介します。
そして、日常生活でできる予防方法も紹介することで、将来的な膝のトラブルを防ぐための知識も得られます。
この記事を読み終える頃には、膝の痛みと水腫への理解が深まり、適切な対処と予防ができるようになっているでしょう。
1. 膝の痛みと水が溜まる症状について
膝に痛みがあり、さらに水が溜まっているように感じる、という経験はありませんか?
膝に水が溜まる状態は医学的には関節水腫と呼ばれ、様々な原因で引き起こされます。
関節水腫は、関節内部にある滑膜と呼ばれる組織が炎症を起こし、関節液が過剰に分泌されることで発生します。
この関節液の増加によって膝が腫れ、痛みや動きの制限が生じます。
痛みの程度や種類、腫れの大きさなどは原因によって様々です。
水が溜まること自体が問題なのではなく、根本的な原因への適切な対処が重要になります。
1.1 水が溜まるメカニズム
私たちの膝関節は、骨と骨の間に滑膜と呼ばれる薄い膜があります。
この滑膜は関節液と呼ばれる液体を分泌し、関節の動きを滑らかにしたり、軟骨への栄養供給を担っています。
何らかの原因で滑膜に炎症が起こると、関節液が過剰に分泌され、関節内に水が溜まった状態になります。
これが関節水腫です。炎症の原因は様々で、スポーツによるケガや加齢による変形などが考えられます。
1.2 膝の痛みの種類
膝の痛みは、その種類によって原因や対処法が異なります。代表的な痛みの種類は以下の通りです。
痛みの種類 | 特徴 | 考えられる原因 |
---|---|---|
鋭い痛み | 瞬間的に強い痛みを感じる | 靭帯損傷、半月板損傷など |
鈍い痛み | 持続的に重苦しい痛みを感じる | 変形性膝関節症、関節リウマチなど |
ズキズキする痛み | 脈打つような痛みを感じる | 感染性関節炎など |
運動時の痛み | 特定の動作で痛みが増強する | 変形性膝関節症、半月板損傷など |
安静時の痛み | 動いていない時にも痛みを感じる | 関節リウマチ、感染性関節炎など |
上記以外にも、階段の上り下りでの痛み、正座ができない、膝が突っ張る、違和感がある、といった症状が現れることもあります。
これらの症状と合わせて、水が溜まっていると感じる場合、自己判断せずに専門家の診察を受けることが重要です。
痛みの種類や程度、発症時期などを詳しく伝えることで、適切な診断と治療を受けることができます。
2. 膝に水が溜まる原因
膝に水が溜まる原因はさまざまですが、大きく分けて外傷性のものと非外傷性のものがあります。
それぞれ代表的な疾患を以下にまとめました。
原因の種類 | 代表的な疾患 | 主な症状 |
---|---|---|
外傷性 | 半月板損傷、靭帯損傷、骨折など | 急激な痛み、腫れ、運動制限 |
非外傷性 | 変形性膝関節症、関節リウマチ、感染性関節炎、痛風、偽痛風など | 慢性的な痛み、腫れ、こわばり |
2.1 変形性膝関節症
変形性膝関節症は、加齢や肥満、過度な運動などによって膝関節の軟骨がすり減り、炎症を起こすことで膝に水が溜まることがあります。
初期には自覚症状がない場合もありますが、徐々に痛みや腫れ、こわばりなどが現れ、進行すると歩行が困難になることもあります。
水が溜まるのは炎症による反応で、関節液の過剰分泌によるものです。
【その足の痛み、もしかしたら膝が悪いかも?】変形性膝関節症の症状と治療法 のブログへ
2.2 半月板損傷
半月板は、大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨で、膝関節にかかる衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。
スポーツや転倒などによって損傷すると、炎症が起こり、膝に水が溜まることがあります。
損傷の程度によっては、痛みや腫れの他に、膝の引っかかりやロッキングといった症状が現れることもあります。
2.3 靭帯損傷
靭帯は、骨と骨をつなぎ、関節を安定させる役割を担っています。
前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯など、膝関節には複数の靭帯が存在し、スポーツや転倒などによって損傷すると、強い痛みや腫れが生じ、膝に水が溜まることがあります。
損傷した靭帯の種類や程度によって、不安定感や関節の可動域制限といった症状が現れることもあります。
2.4 関節リウマチ
関節リウマチは、免疫の異常によって関節が炎症を起こす自己免疫疾患です。
膝関節を含む複数の関節が左右対称に腫れや痛みを生じ、水が溜まることもあります。
朝のこわばりや微熱、倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。
進行すると関節の変形や機能障害につながる可能性があります。
2.5 感染性関節炎
感染性関節炎は、細菌感染によって関節に炎症が生じる病気です。
膝関節に細菌が侵入すると、急激な痛みや腫れ、発熱などが現れ、関節内に膿が溜まることもあります。
放置すると関節の破壊につながる可能性があるため、早期の治療が重要です。
2.6 その他(痛風、偽痛風など)
痛風は、尿酸が関節内に結晶化して炎症を引き起こす病気で、主に足の親指の付け根に発症することが多いですが、膝関節に発症することもあります。
偽痛風は、ピロリン酸カルシウム二水和物が関節内に結晶化して炎症を引き起こす病気で、膝関節に好発します。
いずれも急激な痛みや腫れ、発赤などを伴い、膝に水が溜まることがあります。
3. 原因別対処法
膝に水が溜まる原因別に適切な対処法を解説します。
自己判断せずに、症状が続く場合は医療機関への受診を検討しましょう。
3.1 変形性膝関節症の対処法
変形性膝関節症は、加齢や肥満、過度な負担などが原因で軟骨がすり減り、炎症や痛みが生じる疾患です。
進行すると水が溜まることもあります。
3.1.1 保存療法
保存療法は、手術をせずに症状の緩和を目指す治療法です。
主な方法として、以下が挙げられます。
- 減量:体重を減らすことで膝への負担を軽減します。
- 運動療法:太ももの筋力強化や関節可動域の改善を目的とした運動を行います。ウォーキングや水中歩行、ストレッチなどが有効です。
- 装具療法:膝サポーターや杖を使用して膝関節を保護し、負担を軽減します。
- 薬物療法:痛みや炎症を抑える消炎鎮痛剤やヒアルロン酸注射などを用います。
3.1.2 手術療法
手術療法は、保存療法で効果が得られない場合や症状が進行した場合に検討されます。
人工関節置換術や関節鏡手術などがあります。
3.2 半月板損傷の対処法
半月板損傷は、スポーツや転倒などによって膝関節内の半月板が損傷するものです。
損傷の程度によって治療法が異なります。
3.2.1 保存療法
保存療法は、軽度の損傷の場合に選択されます。
安静、冷却、圧迫、挙上などのRICE処置や、サポーターの着用、リハビリテーションなどを行います。
3.2.2 手術療法
手術療法は、半月板が大きく断裂している場合や、保存療法で改善が見られない場合に検討されます。
関節鏡手術によって、断裂部分の切除や縫合を行います。
3.3 靭帯損傷の対処法
靭帯損傷は、スポーツや事故などによって膝関節の靭帯が損傷するものです。
前十字靭帯損傷や内側側副靭帯損傷などが代表的です。
3.3.1 保存療法
保存療法は、軽度の損傷や、手術を希望しない場合に選択されます。
安静、冷却、圧迫、挙上などのRICE処置や、サポーターの着用、リハビリテーションなどを行います。
3.3.2 手術療法
手術療法は、靭帯が完全に断裂している場合や、関節の不安定性が強い場合に検討されます。
損傷した靭帯を再建する手術が行われます。
3.4 関節リウマチの対処法
関節リウマチは、免疫の異常によって関節が炎症を起こし、痛みや腫れが生じる病気です。
進行すると関節の変形や機能障害につながるため、早期の治療が重要です。
薬物療法を中心とした治療が行われ、抗リウマチ薬や生物学的製剤などが使用されます。
また、リハビリテーションや日常生活の指導も行われます。
3.5 感染性関節炎の対処法
感染性関節炎は、細菌感染によって関節に炎症が生じる病気です。
関節の痛み、腫れ、発熱などの症状が現れます。
抗菌薬の投与が中心となり、症状が強い場合は関節穿刺による排膿や洗浄が行われることもあります。
3.6 その他の原因への対処法
痛風や偽痛風など、結晶が関節に沈着して炎症を起こす病気も、膝に水が溜まる原因となることがあります。
それぞれの原因に応じた薬物療法や生活指導が行われます。
原因 | 主な症状 | 対処法 |
---|---|---|
痛風 | 急激な関節の痛み、腫れ、発赤 | 消炎鎮痛剤、尿酸値を下げる薬 |
偽痛風 | 痛風と類似した症状 | 消炎鎮痛剤、コルヒチン |
4. 膝の痛みと水が溜まった時の今すぐできる応急処置
膝に痛みがあり、水が溜まっていると感じた時は、まず落ち着いて行動することが大切です。
自己判断で無理に動かしたり、マッサージなどを行うと悪化させる可能性があります。
まずは応急処置を行い、痛みが引かない場合は専門機関への受診を検討しましょう。
4.1 RICE処置
RICE処置は、急性期の怪我に対する応急処置の基本です。
膝の痛みと水腫にも効果的です。
4.1.1 Rest(安静)
患部を安静にすることが最も重要です。
膝に負担がかかる動作は避け、安静を保ちましょう。
無理に動かすと症状が悪化し、回復が遅れる可能性があります。
4.1.2 Ice(冷却)
氷水を入れた袋や保冷剤などをタオルに包み、患部に15~20分程度冷やします。
冷やしすぎると凍傷の恐れがあるので、時間を守りましょう。
また、冷却は炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。
2~3時間おきに、数回繰り返すと効果的です。
4.1.3 Compression(圧迫)
弾性包帯などで患部を適度に圧迫することで、腫れや内出血の進行を抑えることができます。
締め付けすぎると血行が悪くなるので、適度な圧迫を心がけましょう。
4.1.4 Elevation(挙上)
患部を心臓より高く上げることで、重力によって余分な水分が心臓に戻りやすくなり、腫れを軽減する効果があります。
クッションや枕などを使い、楽な姿勢で膝を高く保ちましょう。
4.2 市販薬の活用
痛みや炎症を抑えるために、市販の鎮痛消炎剤を活用することもできます。
内服薬だけでなく、湿布薬も効果的です。
市販薬を使用する際は、用法・用量を守り、副作用にも注意しましょう。
主な市販薬としては、ロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンなどが含まれるものがあります。
どの薬を選ぶべきか迷う場合は、薬剤師に相談することをおすすめします。
市販薬の種類 | 効果 | 注意点 |
---|---|---|
ロキソプロフェンナトリウム配合剤 | 痛みや炎症を抑える効果が高い | 胃腸障害などの副作用に注意 |
イブプロフェン配合剤 | 痛みや発熱を抑える効果がある | 胃腸障害などの副作用に注意 |
アセトアミノフェン配合剤 | 痛みや発熱を抑える効果がある、胃への負担が少ない | 他の解熱鎮痛薬との併用に注意 |
4.3 注意点
応急処置はあくまで一時的なものです。
これらの処置を行っても痛みが引かない場合や、症状が悪化する場合は、速やかに専門機関を受診しましょう。
自己判断で治療を続けると、症状が悪化したり、適切な治療の開始が遅れる可能性があります。
5. 病院に行く目安
膝の痛みと水が溜まっている場合、自己判断で対処せずに、適切なタイミングで医療機関を受診することが重要です。
特に以下の症状がある場合は、早急に受診を検討しましょう。
5.1 我慢できないほどの痛み
安静にしていてもズキズキと痛む、少し動いただけでも激痛が走るなど、日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
痛みの程度は個人差がありますが、我慢できないほどの痛みは、重篤な症状のサインである可能性があります。
5.2 膝の腫れがひかない
RICE処置を行っても膝の腫れが引かない、または悪化する場合は、炎症が進行している可能性があります。
また、水が溜まっている状態が長引くと、関節の軟骨が損傷するリスクも高まります。
腫れが引かない場合は、医療機関で適切な検査と治療を受けましょう。
5.3 熱がある
膝の痛みや腫れに加えて、発熱がある場合は、感染性関節炎などの可能性があります。
感染症は早期治療が重要ですので、速やかに医療機関を受診しましょう。
5.4 歩行困難
膝の痛みで歩行が困難な場合、日常生活に大きな支障をきたします。
痛みがなくても、膝に力が入らない、ぐらつくといった症状がある場合も注意が必要です。
無理に歩くと症状が悪化する可能性がありますので、医療機関を受診し、適切なアドバイスを受けましょう。
5.5 症状の悪化や改善が見られない場合
応急処置や市販薬を試しても症状が改善しない、または悪化する場合は、自己判断で対処を続けるのは危険です。
医療機関を受診し、専門家の診断と適切な治療を受けるようにしましょう。
5.6 受診の目安となる期間
症状が出てから3日~1週間経っても改善が見られない場合は、医療機関の受診をおすすめします。
特に、痛みが強い、腫れがひどい、発熱があるなどの症状がある場合は、できるだけ早く受診しましょう。
また、痛みがなくても、膝の違和感や不安定感が続く場合も、受診を検討してください。
症状 | 受診目安 |
---|---|
我慢できないほどの痛み | すぐに |
膝の腫れがひかない | 3日~1週間 |
熱がある | すぐに |
歩行困難 | すぐに |
症状の悪化や改善が見られない | 3日~1週間 |
上記はあくまでも目安です。
症状や状況に合わせて適切な対応を取りましょう。
少しでも不安な場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
6. 予防方法
膝の痛みと水が溜まるのを予防するために、日常生活でできることから始めましょう。
継続することが最も重要です。
6.1 適度な運動
適度な運動は、膝関節周辺の筋肉を強化し、関節の安定性を高めます。
ウォーキングや水中ウォーキングなど、膝への負担が少ない運動を選びましょう。
激しい運動や急に負荷をかける運動は逆効果になる可能性があるので避けましょう。
運動を行う上での具体的なポイントは以下の通りです。
運動の種類 | ポイント |
---|---|
ウォーキング |
|
水中ウォーキング |
|
サイクリング |
|
ヨガ・ピラティス |
|
6.2 ストレッチ
ストレッチは、膝関節の柔軟性を維持し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。
大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎのストレッチを重点的に行いましょう。
お風呂上がりなど、体が温まっている時に行うのが効果的です。
おすすめのストレッチをいくつかご紹介します。
ストレッチの種類 | 方法 |
---|---|
大腿四頭筋ストレッチ |
|
ハムストリングストレッチ |
|
ふくらはぎストレッチ |
|
6.3 体重管理
体重増加は膝への負担を増大させ、痛みの悪化や水が溜まりやすくなる原因となります。
バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、適切な体重を維持しましょう。
体重管理は以下の点に注意しましょう。
- 栄養バランスの取れた食事を摂る
- 間食や夜食を控える
- 規則正しい生活リズムを維持する
- 自分に合ったダイエット方法を見つける
6.4 サポーターの着用
サポーターは、膝関節をサポートし、安定性を高める効果があります。
スポーツ時や日常生活で膝に負担がかかる作業をする際に着用することで、痛みや水の発生を予防することができます。
自分に合ったサポーターを選び、正しく着用することが重要です。
ドラッグストアやスポーツ用品店などで購入できます。
サポーターを選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 自分の膝のサイズに合ったものを選ぶ
- 用途に合ったタイプを選ぶ(スポーツ用、日常生活用など)
- 通気性が良いものを選ぶ
- 装着しやすく、締め付け感が適切なものを選ぶ
これらの予防策を日常生活に取り入れることで、膝の痛みと水が溜まるのを防ぎ、健康な膝を維持することができます。
違和感を感じたら、早めに専門家へ相談しましょう。
膝の痛みで困っていませんか?効果的なサポーター選び方とおすすめ商品をご紹介 のブログへ
7. まとめ
膝の痛みと水が溜まる症状は、様々な原因によって引き起こされます。
この記事では、変形性膝関節症、半月板損傷、靭帯損傷、関節リウマチ、感染性関節炎など、代表的な原因とそれぞれの対処法について解説しました。
原因によって適切な対処法が異なるため、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。
痛みや腫れが急に出た場合は、RICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を行い、症状の悪化を防ぎましょう。
市販薬も活用できますが、痛みが強い場合や症状が改善しない場合は、速やかに病院を受診してください。
特に、我慢できないほどの痛み、腫れが引かない、熱がある、歩行困難などの症状がある場合は、緊急性を要する場合があります。
膝の痛みや水の蓄積を予防するためには、適度な運動、ストレッチ、体重管理、サポーターの着用などが有効です。
日頃から膝の健康に気を配り、快適な生活を送るように心がけましょう。
何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。
柔道整復師 武田和樹 監修