足やお尻にシビレが出てきた時に読んで頂きたい腰椎椎間板ヘルニアの初期症状について
足やお尻にシビレが出てきた時に読んで頂きたい腰椎椎間板ヘルニアの初期症状について
腰椎椎間板ヘルニアって?
そもそも椎間板というのは、背骨と背骨の間にあるクッションの役割を果たす部分になります。
クッションというくらいですから、ある程度柔軟性があるのがイメージできますね。
その椎間板は外側の「繊維輪」と真ん中の「髄核」というゼラチン状の物質で構成されていて、腰への負担が大きくなってくると腰椎にある椎間板(繊維輪や髄核)がどんどん潰れたりズレてきてしまいます。
「ヘルニア」という言葉は“正常な位置から飛び出している”という状態を表す単語になります。
ですので、「腰椎椎間板ヘルニア」というのは、腰椎にある椎間板が正常な位置からズレて突出し、脊髄を刺激してしまっている状態ということです。
さらに刺激されている部分に炎症が起きることで、さまざまな症状を引き起こします。
初期症状
では、どんな症状が出ているときに腰椎椎間板ヘルニアを疑わないといけないのでしょうか?
ひとつひとつ確認していきましょう。
感覚障害
腰や足の一部の感覚が鈍くなったり、感覚が無くなったりする症状です。
また、感覚といっても触られているのが分からないだけでなく、
温覚障害:皮膚に触れているものの熱さが分かりにくい・あるいはまったく分からない
痛覚障害:痛み刺激(つねられたり等)があっても痛みが分かりにくい・あるいはまったく分からない
など、あらゆる感覚に対して感じにくくなる症状もみられます。
脊髄は神経の束であり、皮膚に温度や痛みを感じるとその神経を通じて脳に伝達する役割を持つ要の場所です。
ところがヘルニアによって脊髄の働きが阻害されるようになると正しく情報を脳に伝達できなくなるため、温度感・痛みの程度が分かりにくくなります。
症状が進んでくると全く知覚できなくなることも珍しくありません。
しびれ
上の感覚障害とともに、現れやすい初発症状の一つです。「異常感覚」ともいわれます。
たとえば、皮膚が炎症を起こしていると風が当たっただけでもビリビリジンジンする事があるかと思います。
一時的に皮膚の感覚のセンサーが壊れてしまって正しく情報を認識できなくなっていることが考えられますね。
ヘルニアの場合でも、脊髄の感覚を司る部分が障害されると、皮膚には何の問題もなくても部分的にピリピリとした痺れが出てくる場合があります。
運動障害
後述しますが、脊髄はそれぞれ筋肉の働きも担当しています。
そのため、ヘルニアによって脊髄が刺激されると、筋肉の働きが鈍くなり動かしにくくなるケースも多く存在します。
- つま先が上がりにくく平坦な場所で引っかかる・躓いてしまう
- 歩くときの踏み込みの力が弱くなった
- 一旦かがむと立ち上がりにくくなった
- 足の力が抜けたような感じ(脱力)になる・足がだるく感じるようになった
- 最近まで支えなしで歩いていたのに、手すりや杖がないと歩くのに不安になる
といったような時には、ヘルニアの可能性を考えたほうが良いかもしれません。
痛み
ヘルニアは症状が進むと激痛を生じるようになりますが、初期段階では軽度の痛みで治まっている・あるいは痛みがある程度強いものの仕事は出来るといったケースも多くみられます。
- 前かがみになると、腰やお尻〜下腿などにかけて痛みが出る
- 咳・くしゃみが腰に響く
- 常時、重だるい痛みが腰や足に出るようになった
前かがみになったときに腰〜下腿など広範に放散痛が出るというのは、坐骨神経痛の場合によくみられます。
坐骨神経というのは大きな神経で、腰椎椎間板ヘルニアで刺激を受けている段階で前かがみになるなどして引っ張られると、とても幅広い範囲で痛みを引き起こすことがあります。
ただ、腰やお尻など背面だけでなく太ももの前面などの痛みに繋がる大腿神経痛や複合的な痛み・他の痛みの場合もありますし、ヘルニアがあれば必ず痛みが出現する、というわけではありません。
なぜか前かがみになると太ももが突っ張る、といった症状に留まることもあるでしょうし、他に症状があっても放散痛はでない、というケースもあります。
気になる場合は検査をして判断してもらうのがベストでしょう。
排尿・排便困難等が起きたりする「馬尾(ばび)障害」
腰椎の最下部には、馬尾(ばび)神経と呼ばれる神経の束があります。
脊髄の終わりのほうで、馬のしっぽのように見えることから名づけられています。
そして、この神経が何らかの理由で圧迫されたり傷つけられたりして起こる障害を馬尾障害といいます。
基本的に腰椎の最下部のほうのヘルニアが進行して起こることが多いのですが、まれにヘルニア自体が下部に突出することでこの馬尾障害が初発症状として起きる人もいます。
馬尾障害は、
- 膀胱直腸障害:尿や便が自力で出せなくなる、あるいは尿や便が漏れやすくなる
- サドル型感覚脱失:会陰部・肛門周りの感覚が無くなる
- 両足の麻痺:足に力が入りにくくなったり、自力で立てなくなる
などの症状を引き起こすことがあります。
なぜ、腰のヘルニアで足に障害が出てくる?
脊髄は場所によって運動(筋肉の働き)や感覚を担当する部位が変わってきます。
例えば、最も多いとされている“腰椎の4番目と5番目の間の椎間板ヘルニア”であれば、この部分が担当している場所の感覚の障害、筋肉の動かしづらさが出てくる、と考えておくとよいでしょう。
感覚はお尻の部分から太もも〜膝の横、すね部分の外側〜親指側の足の甲を担当していて、筋肉は「前脛骨筋」「長拇趾伸筋」「長趾伸筋」と主に足の親指側のつま先を上げる運動を担当します。
つまり第4-5の椎間板ヘルニアだと、これらの部位の感覚が鈍くなったり痺れたりする・つま先が上げにくくなったりして床に引っかかることが多くなる・ちょっとした段差で躓いてしまうといった症状が出てくるということですね。
“腰椎の5番目と仙椎の1番目の間の椎間板ヘルニア”も、よく発生する場所の一つです。
感覚はおしりの中央部分~太ももの裏面〜ふくらはぎ〜足の裏と足の小指側を担当、筋肉は「下腿三頭筋」「長拇趾屈筋」「長趾屈筋」を担当しています。
そのため第5腰椎-第1仙椎の椎間板ヘルニアであれば、主にお尻〜足の裏面を中心に痺れたり感覚がマヒしたり、つま先たちが行いにくくなる・歩いているときに地面を蹴る力が弱い、といった状態になることがあります。
また、ヘルニアが下に突出すると先述したとおり馬尾症状を引き起こすことがあるので要注意です。
痛みがなければヘルニアじゃない?
基本的に、ヘルニアは激痛が走るもの・ヘルニアになったら動けなくなる、というイメージを持っている人もいるでしょう。
実際にヘルニアの症状がはっきりしてくると起き上がるのも一苦労になることが多いため、間違ってはいません。
しかし実際に椎間板が脊髄を刺激していても、症状が全く出ない「無症候性ヘルニア」と呼ばれるケースも存在するのです。
前述したとおり、症状が目立ってくるのは椎間板が脊髄を刺激しているだけの状態ではなく、刺激を繰り返して脊髄が炎症を起こし始めてからと言われます。
そのため初期の段階では、痛みはないものの軽いしびれが足に時折出てくるとか、たまに腰や足に痛みが出るがしばらくすると痛みがなくなるとか、軽い症状のまま落ち着いている例も少なくはないのです。
まとめ
・感覚障害
・しびれ
・運動障害
・痛み
・排尿、排便障害
足がなんとなく上がりづらいとか、その影響で足がつまづきやすくなった、といった違和感がある場合は腰からの影響があるかもしれないこと・専門家に診てもらう事をオススメします。
私の院では単に痛みを取るだけでなく
1人1人きちんと問診、検査、
カウンセリングをさせて頂き、
その患者さんに最適な治療法を選択し
国家資格を持つ私が責任を持って施術させて頂きます。
施術の質を維持するために完全予約制で1日の施術人数を制限させて頂きます。
※健康保険、交通事故のお取扱いはしておりません。
柔道整復師 武田和樹 監修